1. なぜ入退室を自動化するのか?

宿泊業をやっていて一番多いトラブルの1つが鍵に関したトラブルです。

過去にこんなトラブルやストレスがありました。

  • ゲストが鍵を無くした
  • ゲストが鍵を持ち帰ってしまった
  • 鍵を部屋に置いたままロックして外出した
  • 合鍵の複製にコストがかかる
  • ジャラジャラと鍵の管理が面倒

などです。
なので、現在は積極的にスマートロックやパスワード式の鍵を使うようにしています。

物理キーを無くしたことで、鍵に関わるトラブルが圧倒的に減りました。
加えて、対面で鍵を受け渡す必要がなくなったので、現場に縛られた運営から脱却できました。

とはいえ、スマートロックの会社が増えてきて、どれを使えばいいかよく分からないですよね。自宅で使うならともかく、不特定多数が泊まる宿泊施設なら、なおさら失敗できません。

このブログでは、こんな鍵の問題を解決するRemote Lockというスマートロックサービスについてご紹介したいと思います。

Beds24が連携しているRemote lockとを利用することで、ゲストごとに異なる客室パスワードが自動で生成され、さらにそのパスワードをAuto Actionを使ってチェックイン前にメールで自動送信できます。

ゲスト一人ひとりに鍵を渡す、パスワードを書いた紙を渡す、手作業でメールを送る、といった作業がすべてなくなります。

おそらく10年後には当たり前になっているこの仕組み、あなたの宿にも導入してみませんか?

スマートロックとテンキーの違い

Remote Lockを細かくご紹介する前に、まず言葉の定義だけ確認させてください。

スマートロックと似たような鍵タイプに、「テンキー錠」というものがあります。スマートロックとテンキー錠は全く別物です。混同している方は注意してください。

スマートロックは、Wi-Fi接続でPCやスマホの管理画面から操作できる鍵です。管理画面上でパスワードの変更ができるほか、入退室も記録することができます。鍵の本体は電池で動作します。

一方、テンキー錠はWi-Fi接続できません。そのため遠隔でパスワードの変更ができず、鍵本体から変更します。民泊やゲストハウスでは、長沢製作所という会社が作っているキーレックスというテンキー鍵を使っているところが多いです。

Remote Lockとは?

Wi-Fi型のスマートロックではおそらく一番有名なブランドです。アメリカの会社ですが、株式会社構造計画研究所という会社が窓口になっています。積極的にプロモーションやセミナーをやっているので、スマートロックを検討している方は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

僕らも2つの宿で実際にリモートロックをBeds24と連携して使っています。

実際にどんな感じで運用しているかというと、

まずお客様はOTAから宿を予約します。そうするとお客様情報が自動でBeds24に取り込まれます。今度はその情報が自動でRemote Lockに取り込まれます。チェックインが近づくと、リモートロックがパスワードを自動生成します。そのパスワードはBeds24に引き渡され、チェックイン前のお客様にメールでお伝えします。お客様は当日そのパスワードで入室します。

これ、全て自動で行われるので、マニュアルで操作することは一切ありません。
すごいですよね。

リモートロックのメリット

  • Wi-Fi型なので遠隔でパスワード変更が可能
  • 入退室記録が管理画面で確認できる
  • お客様が入室したらメールが飛ばせる
  • 電池の残量が管理画面から分かる
  • 1つの鍵に複数のパスワードが設定可能
  • 物理鍵もあるので、何かあっても開けられる
  • アクセス可能な日時をあらかじめ指定できる
  • AirbnbやInstabaseなどの予約サイトとのとのシステム連携
  • Beds24やねっぱん!などの宿泊管理ツールとのシステム連携

リモートロックのデメリット

  • 月額課金制
  • 鍵本体は35,000円
  • 取り付けはプロに
  • 時々サーバー落ちて管理画面入れない
  • 電池の消耗が他の鍵より早い
  • 初期設定が煩雑

Remote Lockの料金

Remote Lockは、専門の業者に取り付けをしてもらう必要があります。なので、鍵本体の購入費用、取付工事費用、そして運用開始後の月額利用料が必要です。

僕たちの場合は、一番低価格の5iというモデルを使用しています。鍵本体の金額は35,000円です。プラス取り付け業者に1台2万円お支払い取り付けを行いました。全国にRemote Lockの提携工事会社がありますので、一度問い合わせてみてください。月額の利用料は1台あたり1,650円です。

ちなみに、Remote Lockは先日レンタルプランなるものを開始しました。このレンタルプランを利用すれば、初期費用0円で、本体・工事・クラウド利用料すべて込みで月額5,500円/台で使用できるそうです。(5iモデルのみ)

Remote Lockの導入の流れ

  1. ドアをチェック:取付可能なドアか確認する。
  2. 鍵本体を購入:オンラインショップから鍵本体を購入して下さい。
  3. 工事の手配:地元の施工パートナーを探してください。
  4. 管理システムのご契約:取り付けたRemote Lockを登録する
  5. 各種設定し運用スタート:Wi-Fiと接続します。マスターキーやドアグループを設定し運用スタート

リモートロック以外の選択肢は?

リモートロックは素晴らしいスペースマーケットですが、ハイスペックすぎるし費用も高いので導入を躊躇する人もいるかと思います。そんな人のためにリモートロック以外の選択肢も提示します。

LINKEY(スマートロック)

リモートロックと似たようなスマートロックに、LINKEYがあります。

穴開けすることなく既存のドアに取り付けられるのがリモートロックとの大きな違いです。もし既存のドアがすでにある場合は、LINKEYの方が手軽にスマートロックを導入できます。

基本的なメリット・デメリットはリモートロックと同様ですが、両方使った感想としては、Remote Lockの方が細かな設定やカスタマイズが可能です。月額費用は500円/1台です。リモートロックより少し安いですね。

KEYLEX(テンキー錠)

はい、みんな大好きキーレックスです。民泊やゲストハウス系は、このキーレックス使っているところ多いです。長沢製作所という会社が作っています。

キーレックスの特徴は、電気を使わない構造になっているので、電池交換が不要でWi-Fiと接続しなくても手軽に使えることです。雨にも強いので玄関の鍵にも問題なく使えます。
そのため、鍵に関するトラブルがほとんどないのが最高に良いですね。うちは、町家の一棟貸しのエントランスにこのキーレックスを使っています。

キーレックスのメリット

  • 電池交換が不要
  • Wi-Fi接続不要なので、いつでも安心
  • 頑張れば素人でも装着できる

キーレックスのメリット

  • 見た目がちょっとダサい
  • ボタンが押しにくい
  • 使い方が分かりにくい機種がある。(特に丸いノブのタイプ)
  • パスワードの変更が面倒(機種によっては分解する必要がある)

GATEMAN(テンキー錠)

韓国メーカーのデジタルテンキー錠です。このモデルは、Wi-Fi接続ではないので遠隔でパスワード変更や入退室記録は取れません。テンキー錠にしては安価なのが良いですね。僕も一部の宿の客室で使っていますが、今まで問題なく使えています。

この類のスマートロックはAmazonで検索すると、色々出てきます。正直、レビューなどをチェックしても機能はどこも似たり寄ったです。

GATEMANのメリット

安価(約10,000円)。ただし並行輸入品です。正規品だと3万円くらいします。
スタイリッシュなボディ

GATEMANのデメリット

並行輸入品の場合、サポートが韓国になるので少し心配…

SAMSUNG(テンキー錠)

こちらは韓国サムソンのデジタルテンキー錠です。上に挙げたゲートマンも韓国メーカーですが、ボディの形や機能はほぼ一緒です。値段も変わりません。おそらくOEMで同じ会社が作っているのでしょう。メリットとデメリットはゲートマンと同じなので飛ばしますね。

美和ロック(テンキー錠)

うちは宿のエントランスに美和ロックのテンキー錠を入れています。電子盤が付いてて20万円くらいする立派なやつで導入する際は迷いましたが、開業して7年ですが今まで一度もトラブルもなくさすが美和ロックって感じです。

とはいえ、かなり高価なので客室のドアには美和ロックを使っていません。

一応Amazonで検索したら、割と安価な美和ロックのデジタルテンキー錠がありました。使ったことないので、詳しいレビューは書けませんが日本メーカーの安心感はありますね

まとめ

確かにスマートロックは便利です。

管理画面からちょいちょいとパスワード変更したり、お客様がきちんとチェックインしたかどうか管理画面から確認できるので。あとは清掃スタッフ用のパスワードを設定したり、すべてのドアで解錠できるマスターキーを設定したり。

とはいえ、ホテルのBeds24と連携して使うとなると、それなりに設定が煩雑になり気軽に使えるわけではありません。

特にお客様ごとにパスワードを発行している場合、かつそれを自動でメールで伝えたりする設定になると、かなりの知識が必要になります。もちろん初期設定さえやってしまえば、楽なんですが。

あとスマートロックはその多機能さゆえ、月額の固定費がかかります。例えばリモートロックだと仮に10室あるホテルの場合、1ヶ月に16,500円必要です(1,650円/台)。

それを考えると、テンキー錠でも十分じゃないかと思う宿もあります。物理キーからテンキー錠に変えるだけで、充分ホテル運営が楽になりますよ。

By / Published On: 6月 16th, 2022 / Categories: 設備や備品 / Tags: , /